デジタルサイネージは主に屋内使用と屋外使用に分かれます。店舗内やテナントなど置く場所を屋内に限るなら、それに見合ったタイプのデジタルサイネージを選ぶのが理想。それでも製品にはさまざまなタイプがあり、迷ってしまうこともあるでしょう。屋内用としてのデジタルサイネージを選ぶ際に考慮すべき点を紹介します。

デジタルサイネージ屋内用と屋外用の違いは?

デジタルサイネージは「屋内用」「屋外用」などという形で販売されるのが一般的。屋内用は屋外用と比べると備えられている機能が少なく、その分、価格も安価になっています。

屋外用なら雨やホコリに強い

屋外でデジタルサイネージを使用するなら、雨やホコリによる故障や劣化を防がなければならないので、屋外用は防水、防塵機能がしっかりしています。ただ、屋内だけで使うならそれほど気を使う必要はないので、機能がついていなくても問題はないでしょう。ただ、入口や窓側などに設置するなら、横からの雨風も警戒する必要があり、ある程度の防水、防塵対策は必要になるかもしれません。防水が施されているデジタルサイネージは、その能力をIPという数値で示しています。「IP55」程度なら十分な耐久性があるとされています。

輝度(カンデラ)の違い

デジタルサイネージのディスプレイを選ぶ際には、輝度を表すカンデラの数値を考慮しましょう。太陽光の反射を考慮しなければならない屋外なら1200カンデラ以上は欲しいところですが、屋内使用であれなら700カンデラ以上であれば視認性にほぼ問題はないと言われています。夜間や薄暗い場所に設置するなら500カンデラ程度でも十分かもしれません。もちろん、屋内でも外からの自然光が入ってくる場所であれば、標準よりも高い輝度が必要になる場合もあるでしょう。また、ディスプレイは高温によって機器が熱を持つと、故障やブラックアウトの原因になります。屋内でも室温の高いところであれば、冷却FANやエアコンを取り付けるなどの対策が必要になることもあるでしょう。

価格の違い

屋内用タイプは屋外用と比べて防水、防塵機能や輝度に差がある分、購入価格も40%ほど安くなっているようです。価格は業者によって差はありますが、例えば店舗の入り口などでよく見かける50インチ前後の屋内用デジタルサイネージだと10~40万円程度。屋外用なら40~80万円くらいと言われています。ディスプレイの目的が店舗内の案内や商品紹介などに限り、通行人や遠くからの視認性を必要としないのであれば、屋内用のデジタルサイネージを選んだ方がコスト的にもお得でしょう。

屋内用デジタルサイネージの置き方

屋内用のデジタルサイネージはさまざまな種類があり、どこにどのように置きたいか、目的や使い勝手に応じて選ぶのが大切です。ここでは代表的な3つのタイプを紹介しましょう。

イーゼル型の自立しているタイプ

飲食店などではディスプレイをスタンドに取り付ける「イーゼル型」がよく使われています。イーゼルとはデッサンで使われるキャンパス用スタンドの意味。自立スタンドなので設置工事も不要で移動も簡単。シンプルな構造なのでコストも抑えることができるでしょう。初めてデジタルサイネージを導入するなら、まずイーゼル型で効果を図ってみるのもいいかもしれません。

壁掛けタイプ

空間に溶け込みやすい壁掛けのタイプも広く使われています。最近はディスプレイの薄型、軽量化も進んでおり、奥行きが10cm以内の厚みしかないものも出てきました。壁掛けであれば設置場所のスペースを取りません。壁を広く使えるのなら、大型のディスプレイを設置するのも可能ですし、アイキャッチ効果は抜群と言えるでしょう。

プロジェクタータイプ

デジタルサイネージはディスプレイだけではなく、プロジェクターを使用して映像を表示する方法もあります。ショーウィンドーや壁などにスクリーンフィルムやシンプルなパネルを貼って映像を投写。大型のディスプレイだと置き場所も限られますが、プロジェクターはスペースを選びません。が高いのもメリット。またコストもディスプレイよりは安価になります。暗い場所での見栄えに優れているので、夜のビルの側面などに使われているのを見かけることが多く、屋内でも薄暗い場所での活用なら効果があるかもしれません。

ディスプレイの種類

屋内でデジタルサイネージを活用するには、どのようなディスプレイを利用するかも重要です。使用目的によって最適なディスプレイを選びましょう。

液晶ディスプレイ

液晶ディスプレイはPCなどにも使われており、一般的にもなじみの深いディスプレイです。解像度が高いので画質が鮮明。構造的にも画素(ピクセル)が細かく、至近距離が見やすいので、屋内でのデジタルサイネージは液晶ディスプレイが幅広く利用されています。軽量で取り扱いやすいのも特徴。液晶ディスプレイを複数面組み合わせて、大画面をつくることも可能です。

有機ELディスプレイ

有機ELディスプレイは、次世代型として今、注目を集めているディスプレイです。スマートフォンの分野でも普及が進んでいるように、薄さと軽さが特徴。屋内の狭いスペースの設置も可能になります。現在はまだ発展段階で、導入コストはかかりますが、自家発光方式なので電気料金は節約できるでしょう。画質の面もコントラストなどはしっかりと表現され、液晶ディスプレイに負けないほど。スマートフォンの分野では、有機ディスプレイを利用して画面を折り曲げられるタイプが発売され話題となりましたが、有機ELディスプレイはデジタルサイネージの発展にも、これから大きく貢献していくかもしれません。

LEDビジョン

LEDビジョンは圧倒的な輝度が特徴。縦横50センチほどのユニットを組み合わせていくことで、画面サイズにも融通が利くので、屋内外で行うイベントなどの会場に画面を設置する場合は、LEDビジョンがよく活用されています。日本では液晶ディスプレイの方が普及しているので導入コストはやや高め。それでもLEDは省エネ性能なので、長い目で見れば費用が抑えられる可能があります。屋内の至近距離で活用するなら、画質的に液晶ディスプレイが勧められてきましたが、最近では高輝度だけではなく、高画質も誇るLEDディスプレイも出始めています。

その他の機能をどのように利用できるか

デジタルサイネージは映像を流すだけではなく、さまざまな機能がついているタイプがあります。特に今はタッチパネル式なども定着してきており、一方通行の配信ではなく、双方向のコミュニケーションが可能となるシステムはますます進化していきそうです。

タッチパネルのデジタルサイネージ

タッチパネルのデジタルサイネージはすでに見たことがあったり、利用した経験のある人も多いでしょう。屋内のデジタルサイネージだとよく見かけるのがショッピングセンターやレストランなどです。商品やメニューなど、利用者が欲しい情報を店員に声がけすることなく得られるシステム。例えば商品を選ぼうとした際、店員がすぐに声をかけてくることにストレスを感じる人などには、タッチパネル式のデジタルサイネージは有効でしょう。店側にとっても接客コストが軽減するメリットがあります。また、利用者の使用履歴を蓄積して、買われた商品や買った人の属性を分析するなどの、マーケティングに利用するのもタッチパネルのデジタルサイネージは可能です。

人感センサー付きのデジタルサイネージ

また、人感センサー付きのデジタルサイネージもあります。人が近づいてきたら反応するシステムで、店内で利用するなら、来客を検知したらコンテンツを切り替えるなどが考えられるでしょう。センサーの組み合わせによっては、来店者だけに反応して、退店する人には反応しないなどのシステムにするのも可能。また、会社の受付に置いて、通常はインフォメーションを流し、来客があればウェルカムコンテンツを表示するのもいいでしょう。

屋内用デジタルサイネージで効果的なアプローチを

屋内用のデジタルサイネージは価格的にも始めやすいのがメリットです。効果を最大限にするためには、どのような場所で、どのような人に、何を配信するのか目的を決めて製品を選ぶのも重要。デジタルサイネージの選択肢はここ数年で広がっています。使い勝手が良く、ニーズに応えてくれるものを探して、有効に活用していきましょう。