デジタルサイネージは、設置場所や時間帯を選ばずに使える訴求効果の高い広告媒体。バリエーションは豊富なので、使用目的に合ったものが見つかるでしょう。ここでは、デジタルサイネージを選ぶポイントの1つとして、「ディスプレイ」に注目。通常のTVやPCモニタより「産業用」がおすすめと言われますが、その理由は何なのでしょうか。

【デジタルサイネージ】産業用ディスプレイを選ぶべき理由


デジタルサイネージに家庭用のPCモニタやテレビを使用しても、特に問題はありません。ただし、故障が発生した際に保証を受けられない可能性は覚えておきましょう。

ここでは、たとえ導入コストがかかっても、産業用ディスプレイを選ぶのが望ましい理由を紹介します。

高い耐久性

産業用ディスプレイには、家庭用ディスプレイには無い防水機能や防滴機能を持つものがあります。耐久性の高い素材を使用したモデルなら、屋外でもトラブルなく稼働し続けることが可能です。

そもそも家庭用ディスプレイの場合、夏の強烈な日差しや冬の寒さ、風雨などへの対応は考慮されていません。そのため、厳しい環境下で使用した場合は耐久性に疑問が残ります。

加えて、家庭用ディスプレイは長時間の使用も想定されていません。24時間電源を入れ、広告目的で休み無く使用するのはほぼ不可能でしょう。

トラブルや故障無く稼働し続けられるかどうかは、宣伝広告媒体としては非常に重要なポイントです。修理が頻発して高額な修理費を支払うことを考えれば、初めから耐久性の高い産業用ディスプレイを準備しておいたほうが、メリットは大きいです。

視認性がよい

画像の微妙な調整が可能なのも、産業用ディスプレイならではのメリットです。

広告媒体としての役割を果たすなら、「見やすい」ことは重要なポイント。横から、あるいは斜めから見ても、はっきりと広告内容が分かるのが理想です。

特に人が多く行き交う場所に設置する場合、視野角の広いディスプレイがおすすめ。どの角度から見ても色や明るさの変化が少なく、鮮明な画像を再現できます。

また、屋外に設置する場合、強い日差しの影響を考慮することも重要です。産業用ディスプレイなら、高輝度だったりLEDバックライトを備えていたりするモデルも豊富。屋外でも屋内と同様にクリアな画像をキープできます。

多種多様な機能

産業用ディスプレイには、家庭用テレビには無いさまざまな機能があります。例えば、縦置きでも横置きでも使えるのは産業用の利点の1つ。設置場所にマッチした宣伝効果を狙えます。

また、ネットワークやWi-Fiを使用して、複数台を遠隔操作できることも大きな魅力です。産業用ディスプレイなら、1台ずつに異なる情報を流す、すべて同じ画像で揃えるなど、さまざまな宣伝広告を行うことができます。

万が一テレビとして使いたい場合は、外付けチューナーがあればOK。ディスプレイによって機能はさまざまなので、アイデア次第で宣伝方法のバリエーションが広がります。

【デジタルサイネージ】産業用ディスプレイの種類とは


産業用ディスプレイを大別すると、「液晶」「LED」「有機EL」の3つがあります。ここでは、産業用として活用されるそれぞれのディスプレイについてより詳しく見てみましょう。

液晶ディスプレイ

液晶ディスプレイは、スマホや家庭用テレビなどでおなじみのディスプレイ。電圧をかけた液晶でバックライトの光をコントロールして、映像を表示します。今や広く普及して種類は豊富なので、選択肢が多いのが魅力です。

液晶ディスプレイならではのメリットとしては、ピクセルピッチが狭く高精細なこと。映像が美しく、フルハイビジョンや4Kの画像にも対応します。

一方デメリットは、視野角がやや狭いこと。製品による差はありますが、見る角度によっては見えにくく感じることがあるかもしれません。

LEDディスプレイ

LEDディスプレイは、バックライトにLEDを使用したディスプレイです。

もともと液晶ディスプレイは、バックライトとして蛍光管を使用していました。後にLEDが登場して蛍光管に変わると、LEDを使用するものが「LEDディスプレイ」と呼ばれるようになったのです。

ただし、近年ほとんどの液晶ディスプレイは、バックライトにLEDを使用しています。つまりよく耳にするLEDディスプレイは、液晶ディスプレイと同義と言えるでしょう。

現在注目されている新たなLEDディスプレイは「Crystal LED Display」や「マイクロLED」に代表されるもので、一般的な液晶ディスプレイとは異なります。こちらは極めて微細なLEDを使った、ユニット構成型のディスプレイです。

これらのLEDディスプレイは、従来品と比較して、圧倒的とも言える画像の美しさが特徴。2019年に行われたデジタルサイネージの展示イベントでも、大きな話題を呼びました。

ただし、ハイスペックなぶん、価格はかなり高額。導入は難しいかもしれませんが、このような技術が登場していることは知っておくべき。

有機ELディスプレイ

有機ELディスプレイは、「特定の有機化合物に電圧をかけると発光する」という現象を応用したディスプレイ。この現象が「有機エレクトロ・ルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence)」と呼ばれることから、「有機EL」という名前になりました。

液晶ディスプレイとの大きな違いは、素子自体が発光すること。これによりバックライトや発光に必要なスペースが不要となり、薄型化・軽量化が容易となったのです。

角度による色調の変化も起こりにくく、視野角もほぼ180度あります。

デメリットは価格が高いこと、寿命が短いこと。しかし近年は研究が進み、こうしたデメリットはかなり改善されています。今後大量生産化が進めば、さらにコストは下がっていくのではないでしょうか。

【デジタルサイネージ】産業用ディスプレイを選ぶポイント


宣伝効果を高めるには、設置場所や対象を意識したディスプレイの選択が必須です。産業用ディスプレイを選ぶ際、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。

輝度

輝度とは、光源の単位面積あたりの明るさの単位です。「cd/㎡(カンデラ)」を使って表わされ、数値が高いほど画面が明るいと考えられます。

宣伝媒体として効果を上げるには、設置場所に適した輝度のディスプレイが必要。まず屋内に設置するディスプレイは、輝度が350~1000cd/㎡程度必要です。一方、屋外に設置するディスプレイは、最低でも1200cd/㎡以上と、屋内よりかなり高い輝度が求められます。

太陽光の強さによっては2000 cd/㎡以上必要なケースもあるので、設置場所の明るさはきちんとチェックしておきましょう。

解像度・視野角

解像度とは、画像の細かさを指します。

表示内容をはっきりと映すには、ディスプレイ側・データ側ともに解像度が高いことが必要です。どちらかが欠けても文字が見えにくかったり画面がぼやける可能性が。4K、8Kが主流となる今後は、ある程度高い解像度を持つディスプレイがおすすめです。

また、視野角とは表示内容が正確に見える角度です。正面以外から見られることを想定する場合、視野角が広いディスプレイを選択する必要があります。

ただし、視野角をディスプレイ選択の決め手するのは避けた方が無難です。視野角とは、あくまでも画面の見やすさ。そもそももとの画像が綺麗でなければ、いくら視野角が広くても意味がありません。

コスト

産業用ディスプレイを選ぶうえで、特に重視すべきなのがコストです。初期導入費用はもちろん、導入後のランニングコストまで含めて考えましょう。

ディスプレイの価格は製品のスペックやサイズによってまちまちですが、あえて相場を述べるなら、次のとおりです。

・43インチ~55インチの屋内用:約10~40万円
・32~42インチの屋外用:約40~80万円

産業用ディスプレイは、スペックが高いほど高額になるのが一般的。そのため、耐久性や画像鮮明度の高い屋外用の方が、屋内用より高額です。

また、導入後のランニングコストについては、まず電気代が必要。ディスプレイの輝度が高いほど消費電力も大きくなるので注意しましょう。

このほか、周辺機器代、ディスプレイに流すコンテンツ代も都度必要です。宣伝設置効果や必要性をよく考え、総合的にコストパフォーマンスのよいディスプレイを選びましょう。

宣伝効果・適切な運用を考えれば、産業用ディスプレイは必須


家庭用のPCモニタやテレビと比較すると、産業用ディスプレイは高価格に感じがち。しかし、機能や耐久性を考えれば、産業用ディスプレイを導入した方が結果的に「コストパフォーマンスがよかった」ということになるでしょう。

デジタルサイネージの普及に伴い、近年はさまざまなスペック・サイズの産業用ディスプレイが登場しています。期待する効果や設置場所をよく確認し、適切なディスプレイを選択してください。