広告の手法としてニーズが高まっているデジタルサイネージ。電子看板とも言います。最近では自治体や大規模な商業施設だけでなく、個人店舗でも多く見かけます。動画や音声を使って効果的な広告展開が見込めるデジタルサイネージは非常に魅力的ですが、導入にあたって気になるのが価格です。主な費用な項目や、デジタルサイネージのタイプ別の価格を紹介します。
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デジタルサイネージの全体価格に影響する主な項目
「デジタルサイネージの価格」と言ったとき、デジタルサイネージのどの機器を想像するでしょうか。デジタルサイネージを表示しているのはディスプレイですが、ディスプレイだけでは何も表示はされません。表示するコンテンツが必要ですし、表示するための回線が必要です。デジタルサイネージ導入で考えなければならない価格の項目を解説します。
ディスプレイなどの機器にかかる費用
デジタルサイネージを表示するための機器を揃えなくてはいけません。
主に必要になる機器は以下の通りです。
・ディスプレイ
情報を表示する画面で、大小さまざまなサイズがあります。解像度が4K・8Kのものが望ましいです。屋外使用の場合は輝度や防水防塵機能が求められます。
価格は各ディスプレイの性能にもよりますが屋内用は20~40万、屋外用は30~100万以上の商品が多いです。
・STB(セットトップボックス)
ディスプレイに表示する情報をキャッチする機器です。ディスプレイに内蔵されているタイプもあります。
単体で、安いものだと1万円前後からあります。4~10万円程度の商品が多いです。
・CMS(コンテンツマネジメントシステム)
表示情報の配信などを管理するソフトウェアです。パソコンにCMSソフトをダウンロードし、配信情報の登録・保存やSTBの管理も行います。
コンテンツの制作とあわせて管理を受注する企業が多く、設置台数によっては初期費用が5万円以上かかることがあります。
さらにパソコンを持っていない場合にはパソコンも必要です。記憶媒体を使って情報表示を行う場合は、USBメモリやSDカードがいります。ネットワークで情報データを送る場合は、回線をひかなくてはいけません。もともとインターネット回線があるとしても、デジタルサイネージ専用の回線を用意するのが望ましいです。
さらに、ディスプレイを設置する場所によっては工事が必要になります。大きさやディスプレイの数、設置する場所によって価格は大きく変動します。
コンテンツを制作・配信する費用
次に表示する情報、コンテンツの作成をしなくてはなりません。例えば写真のスライドショーのような簡単なものであれば、自分で表示できる人もいるかもしれません。しかし複雑な動画編集となると専門的な知識が必要であり、企業やクリエイターに依頼した方が良いです。
コンテンツの制作費用は、その時間や内容で変動します。また、一回のみの制作ではなく、「月に2本」といった契約の仕方もできます。
写真のスライドショーのようなものでも、2~3万円かかるのが一般的です。動画制作は10万以上かかるものが多いです。その内訳は、企画や編集といったクリエイターへの費用が5~6万円、BGMやナレーションなど動画の素材にかかる費用が4~5万円ほどです。
メンテナンスや運用にかかる費用
デジタルサイネージは一度導入してしまえばOKではなく、運用にも費用がかかります。機器のメンテナンスはもちろん、ソフトウェアの更新なども必要です。
一番大きく、コンスタントにかかるのが電気代です。台数や使用時間にもよりますが、一ヶ月の電気代が1万円を超えることも少なくありません。
複数台ある場合にはネットワークを使用したデジタルサイネージを採用(次の章で解説)することが多いですが、ネットワーク回線を使用するサーバー台が毎月かかります。こちらもどこの回線を使用するかによりますが、月5千円前後かかるのが一般的です。
デジタルサイネージのタイプと価格の関係
デジタルサイネージの導入方法と価格の関係はどのように変わるでしょうか。価格から導入タイプを選択することも一つの手段です。導入方法別の価格の傾向を解説します。
スタンドアロン型
スタンドアロン型は、ネットワークを必要としないデジタルサイネージです。CMSで制作したコンテンツを記憶媒体に保存し、STBに直接挿入します。時間による表示内容の管理などがなければCMSがなくても大丈夫ですが、STBは必ず必要です。
とは言え、ほかの導入方法に比べてコストがかからず、また仕組みもわかりやすくて簡単に導入できる点がメリットです。自立型のディスプレイも多く、設置の工事費もかかりません。
屋内か屋外によりますが、10万前後から導入できます。10万円以下に抑えたい場合はディスプレイの価格を抑える必要がありますが、明るく見えるための性能である輝度が低いものが多いので注意が必要です。
ローカルネットワーク型
ローカルネットワーク型は、限定的なネットワーク型を使用したデジタルサイネージです。オンプレミス型とも言います。インターネットがなくても使用できます。ディスプレイのほかにSTB、CMSが必要です。そして、ネットワークを構築することがローカルネットワーク型の最大の特徴です。さらにCMSなどのアップデートを自身で行わなくてはならず、そのメンテナンス費用と手間がかかります。
ディスプレイに加えて、ネットワークの構築が大きく費用がかかる項目です。デジタルサイネージの運用予定に応じたネットワークの設計に10万円前後、物理的な配線を含めたネットワークの接続に10万円前後かかります。
クラウド型
クラウド型は、ローカルネットワーク型と同じくネットワークを使用したタイプですが、おオリジナルのネットワークではなくインターネットを使用します。クラウドサーバーを利用する分、ネットワーク構築にかかる費用を削減することができます。
インターネットに接続されているので、CMSなどのアップデートを自動で行うことができます。電気代やサーバー代がかかりますが、低コストで導入できるタイプです。
導入する場所や機能による価格の違いは?
デジタルサイネージの導入例から、実際にどの価格がかかっているかを考えてみましょう。ここではクラウド型の導入プランを想定します。屋内、屋外、そして需要が高まっているタッチパネル式の価格を算出してみます。デジタルサイネージの導入費用策定にお役立てください。
屋内用デジタルサイネージの価格
屋内用のデジタルサイネージの場合は、ディスプレイは20~40万円程度です。価格の違いは、画面の明るさに関わる輝度や、画面の解像度、画面の最大表示色の違いによるものです。10万円前後の安価なものがありますが、いずれかの性能が活用場面に対して不足する場合があるので十分にチェックしましょう。
約20万円のディスプレイを4台用意するとしたら、ディスプレイで80万、STBをプラスして約100万円です。
さらにコンテンツを作成します。複数台を同時管理するのであれば各企業が提供するサービスを利用したほうが良いでしょう。初期費用が5万円、月に約1万円かかります。「4台用意するとしたら」と仮定したのは、台数によってコンテンツ管理費用が変動するからです。5台前後で初期費用などがアップするプランが多いようです。
屋外用デジタルサイネージの価格
屋外用のデジタルサイネージの場合、ディスプレイは30万円以上のものが多く、高いと200万円前後のディスプレイもあります。屋外で使用する場合は、太陽光の下でもしっかりと視認できることや雨風にも耐えられることが求められます。その性能の分だけ価格がぐんとアップします。屋外に設置する場合は遠くからも見えることを前提とすることが多いでしょうから、サイズも大きくなります。大きいサイズで性能の高いディスプレイを購入するとしたら、100万円はかかると考えた方が良いでしょう。
そこに、前述のSTBやCMSなどの費用が加わります。屋外の壁などに工事費用も高くかかりそうです。
タッチパネル式デジタルサイネージの価格
タッチパネル式のデジタルサイネージが最も多く採用されている例は、施設のフロアガイドです。フロアガイドはただ情報を表示してしまってデジタルサイネージである必要がなくなるので、タッチパネル式で一歩進んだ情報を表示させるのは必然と言えます。商業施設でクーポンを取得できる端末や、スーパーマーケットの無人レジにデジタルサイネージを採用する企業も増加しています。1人ひとりのユーザーのニーズに寄り添うことが可能になります。
ディスプレイにタッチパネル対応の機能が必要となり、その分5~10万円ほど価格がアップします。
デジタルサイネージの長期間使用を踏まえて最適な価格をチョイス
デジタルサイネージの導入費用は、一言で言えば高いです。例えばパソコンを一台購入してそこに動画を流すだけでもデジタルサイネージにはなりますが、狙った効果を生み出すためにはやはり機器にもコンテンツにもこだわる必要があるでしょう。デジタルサイネージは機器自体のレンタルサービスもありますが、長期間使用する場合には最終的にコストがかかりすぎることもあります。「デジタルサイネージを購入する費用があるか」と同時に、「デジタルサイネージを使い続ける費用があるか」を念頭に置き、予算にあったデジタルサイネージを購入しましょう。