視認性の高いデジタルサイネージに欠かせない業務用ディスプレイ。一般的な家庭用ディスプレイに比べてどのような特徴があるのか、価格の相場やディスプレイ以外に必要なコストも併せて説明します。
見出し
業務用ディスプレイは割高?見た目で分からない違い
家庭用ディスプレイも業務用ディスプレイもパッと見ただけでは同じように見えるため、業務用を買うことを割高に感じるかもしれません。しかし、業務用ディスプレイには見た目で分からないデジタルサイネージに欠かせないいくつかの特徴があります。
耐久性が高い
デジタルサイネージは家庭用テレビとは異なり、長時間連続で使用することが想定されます。また、設置場所も家庭とは異なり埃や雨、太陽光などのストレスがかかる場所がほとんど。つまり毎日長時間、ストレスのかかる環境で使い続けられる高い耐久性が必要になります。
その点、業務用ディスプレイは実際の運用イメージを想定して作られているため一般的な家庭用ディスプレイよりも耐久性が高いという利点があります。
コントラスト、輝度など調整機能が豊富
デジタルサイネージを使用するシーンはほとんどの場合家庭よりも明るい環境です。スマートフォンの画面が屋外だと自然に明るくなるように、ディスプレイの視認性を確保するためには明るい場所であるほど高輝度である必要があります。
業務用ディスプレイは明るさ、コントラストなどが使用環境に最適になるように調整できるので、どんなシーンでも鮮明で目を引くコンテンツ配信が可能です。
遠隔からコントロール可能
複数のデジタルサイネージを運用したり遠隔運用する場合も、ネットワーク接続可能な業務用ディスプレイであれば問題ありません。
CMS(コンテンツマネジメントシステム)を経由してパソコンから遠隔でディスプレイにアクセスし、タイムリーな情報をリアルタイムで配信することが可能です。
縦置きやマルチディスプレイに対応
一般的な家庭用ティスプレイは横長に使うことが前提となりますが、デジタルサイネージは縦置きや、複数のディスプレイを組み合わせて大きな1枚のディスプレイにするマルチディスプレイにも対応可能です。
縦置きでスタイリッシュに、マルチディスプレイで大迫力に使うことができる業務用ディスプレイなら導入アイデアの幅も広がります。
業務用ディスプレイの価格はどれくらい?
様々な利点のある業務用ディスプレイですが、実は屋内用と屋外用で価格に差があります。
・屋内用の相場は10~40万円
・屋外用の相場は40~80万円
屋内と屋外の差は太陽光などの明るさ、そして雨や砂、埃などの外部ストレスです。もちろん屋外用は屋内用よりもストレスに強く、高輝度のディスプレイを作る必要があるためコストも高くなっています。
また、デジタルサイネージには置き型もあれば壁掛け工事を行い壁面に設置するものもあります。設置のために別途工事が必要になるのであればそのコストも計算に入れる必要があるでしょう。
単体での設置に向いているスタンドアロン型と、遠隔操作可能なネットワーク型でも価格は異なり、最もリーズナブルに導入できるのはスタンドアロン型の室内用デジタルサイネージとなります。
業務用ディスプレイ以外にかかる4つのコスト
デジタルサイネージ運用にはディスプレイ以外にも様々なコストがかかります。導入時にかかるコストだけではなく、ランニングコストとしてかかるものも含めて4つ確認しておきましょう。
電気代
デジタルサイネージ運用で欠かせないランニングコストである電気代。これはディスプレイの輝度と運用時間、ディスプレイの大きさによって異なります。
屋内用(350cd前後)/15時間使用→月額600〜700円
屋内用(700cd前後)/15時間使用→月額2,600〜3,000円
屋外用(2000cd前後)/15時間使用→月額3,000〜5,000円
明るさにもよりますが、一般的に屋内用は350〜700cd、屋外用は700cd〜2500cdと言われています。アイキャッチ効果を得るためにも輝度は十分に確保しましょう。まずは設置したい場所をイメージして電気代を計算しておくことをおすすめします。
STB
コンテンツを再生するためのプレーヤーの役割を果たすSTB(セットトップボックス)。一般的なDVDプレーヤーなどと違い、デジタルサイネージ運用に適したシンプルで耐久性が高い作りが特長です。
ディスプレイ内蔵型のものから、STB単体のものまでありますが、複数のディスプレイに繋ぎ変えて使う可能性がある場合は単体のものを購入しておくと良いでしょう。シンプルなものであれば1万円から、ネットワーク接続可能で複雑なものは10万円以上する場合もあります。
CMS
デジタルサイネージで再生するコンテンツのスケジュール管理、ログ管理などを行うCMS(コンテンツマネジメントシステム)。リアルタイムの更新が可能で、複数のデジタルサイネージを運用するのであればほぼ必須と言えるシステムです。
最近は、すぐに利用可能なクラウドサービスを利用したものを月額使用料(1端末あたり4,000円〜1万円程度)を支払って使う方法が一般的になりつつありますが、セキュリティ面などが気になる場合は自社で新たにサーバーを構築して利用することもできます。ただ、その場合はメンテナンス費用なども含めてランニングコストを計算しておく必要があるでしょう。
コンテンツ制作費
デジタルサイネージ導入後、多くの場合は定期的なコンテンツ変更、追加などが必要になるでしょう。フリーソフトなどを使い自社で製作することも可能ですが、より目を引く魅力的なコンテンツを作りたいという場合は外部に依頼する必要があるかもしれません。
コンテンツは内容や長さ、修正回数など様々な要因によってコストが変わります。コンテンツを外部依頼することが多くなりそうな場合はあらかじめそのコストも含めて検討しておきましょう。
テレビ用ディスプレイで代用は不可?
「業務用ディスプレイの魅力はわかったけれど、コストをできるだけ抑えたい」「手持ちのテレビ用ディスプレイを使いたい」という場合もあるかもしれません。テレビ用ディスプレイをデジタルサイネージ用に使うことはできないのでしょうか?
基本的には運用ストレスに強い業務用ディスプレイがおすすめ
屋外、もしくは人通りの多い屋内で使うデジタルサイネージと、家庭内でテレビとして使う場合では運用中の外部ストレスに差が出ます。ストレスが強くかかればもちろん故障するリスクも高くなるため、基本的にはデジタルサイネージとして使うなら業務用ディスプレイがおすすめです。
一般のテレビで保証がついているものであれば大丈夫と思われるかもしれませんが、家庭内で使うことを前提にした保証内容である場合もあり、想定される以外の方法(デジタルサイネージ)として使った場合に保証範囲に含まれるかは難しいところです。
条件によっては代用可能な場合も
ただし、明るさや埃や雨などの外部ストレスが家庭用テレビとほぼ変わらない条件でデジタルサイネージを運用するという場合は代用可能な場合もあるでしょう。まずはテレビ用ディスプレイで試してみたいという場合も、ストレスのかかりにくい環境がどうかを確認してから使うことをおすすめします。
視認性、耐久性の高い業務用ディスプレイで効率的な運用を
デジタルサイネージ導入の成功を握る視認性の高さを重視するなら業務用ディスプレイがおすすめ。また、長時間稼働させたり、埃や雨などがかかる可能性のある場所で運用する場合も、耐久性の高い業務用ディスプレイを使うようにしましょう。