人目に付きやすいデジタルサイネージはさまざまなシーンで活用されています。特に急速な普及が目立つのはレストランなどの飲食店業界。デジタルサイネージをうまく活用することで顧客増はもちろん、業界の課題とされている人手不足の解消にも期待が持たれているようです。レストランではデジタルサイネージをどのように使うのが効果的なのか。具体例を挙げながら、それぞれのメリットを紹介していきます。
デジタルサイネージで動画を流す
デジタルサイネージを使って流す動画は、レストランならではの映像が効果的。顧客の食欲をうながす一方、食の安全をアピールする内容は、店の信頼アップにもつながります。また、店によってはデジタルサイネージを利用して、動画による社員教育を行っている例もあります。
インテリアとして
五感に訴えるような「シズル感」のある動画をデジタルサイネージで流すのは、よく使われているテクニックの一つ。例えば肉汁があふれる様子や、野菜の瑞々しさを強調するのようなみずみずしさを強調する映像は、来客の食欲増進に効果があるでしょう。映像の色づかいもファストフードなら赤、ヘルシーレストランなら緑を押し出すなどで、店のコンセプトと同化させれば、来客の心をつかむインテリアとしても効果がありそうです。映像制作は自社内が難しければ、業者に依頼するといいでしょう。
レストランへの信頼感を高める
高品質な食材を仕入れしている場面や、季節限定メニューの調理過程、キッチンなどで安全管理を徹底している様子など、実際の従業員の仕事ぶりを映像で紹介する手法もあります。安全管理に取り組む姿勢を見せることは、レストランへの信頼感アップにもつながるでしょう。ポスターやホームページなどでアピールポイントを紹介しようとすると、肩の凝った内容になりがちですが、デジタルサイネージの利用で動画にすると、ユーザーに訴えやすくなります。
デジタルサイネージを利用して社員教育もできる
デジタルサイネージを社員教育に利用しているレストランもあります。接客の仕方や、言葉遣いなど社員教育の目的に合った動画を制作し、開店前などに社員へ向けてディスプレイで流します。新人教育なら仕事習得へのポイントを繰り返し見せるなどで、早期育成に期待が持てるでしょう。また、教育する側の担当者の負担も減らすことができ、人的コストの削減につながります。
レストランのメニューをサイネージ化する
レストランのメニュー表示もデジタルサイネージを利用する例が増えています。店側にとっての集客効果だけではなく、利用客にとってもたくさんのメリットがあります。
レストランの入り口に置くメニュー
レストラン入り口のショーウインドやボードなどで、通行する人々にメニューを紹介するのは集客の方法として一般的です。従来のやり方だとランチタイム、ディナータイムなどの切り替えは、人の手が必要でしたが、デジタルサイネージの活用でその切り替えはグンと楽になります。また、サラリーマン、家族連れなど時間帯や曜日によって、ターゲット層を意識したメニューを手厚くアピールするのもお手軽になるでしょう。外国人観光客の集客に力を入れたいのであれば、多言語にも対応しているデジタルサイネージは有効です。
食券機の導入で人件費の低減
最近は食券機を兼ね備えた高性能のデジタルサイネージも出ています。まず、食券機を導入するメリットは注文や会計に必要な人件費を削減できること。さらにサイネージ型の券売機ならキャッシュレス対応や、クーポン、領収書発行など、来客の待ち時間が発生しやすい作業も容易になります。こちらも多言語対応すれば、外国人観光客が店内の張り紙や冊子といった日本語のメニュー表示に戸惑うようなことはないでしょう。
健康に留意している方に優しいサイネージ
ヘルシー志向やアレルギーを持つ来店客にも、デジタルサイネージの利用でメニューひとつひとつの詳細を明確に表示できます。高カロリーだったり、アレルギーを引き起こす可能性がある食材を使用しているかどうか、手軽に閲覧できる環境であれば来店客も安心して食事を楽しめるでしょう。お店に対して信頼感を持ってもらうことにもつながり、多くのリピーターを呼び込む効果も期待できます。
サイネージをスマホと連携させてできること
デジタルサイネージはスマートフォンと相性がいいと言われています。これまでもさまざまな面での連携が目立ち、今後はさらに進化していくでしょう。特に客側のセルフ化は普及していくものとみられ、人員的なコストの大幅な削減に期待できそうです。
スマホの充電
スマートフォンの充電機能を兼ね備えたデジタルサイネージがこのところ注目されています。例えばレストランの店内が混雑していると、店外に待ち客が並ぶこともあるでしょう。そこにスマートフォンの充電もできるデジタルサイネージを置いて待ち客に開放。画面では店内情報やメニューなどを流して待ち客をつなぎ止める、という使い方ができます。デジタルサイネージ端末とスマホ充電器の合体は小型のものもあり、それを複数用意して待ち客に貸し出して、顧客確保に力を注いでいる例もあるよう。スマートフォンの通信機能が向上するにつれ、バッテリーに不安を持つユーザーは増えています。その流れに沿った顧客ニーズの対応は、特に混雑が頻繁だったり、人手不足のレストランには有効となりそうです。
スマホで情報を受け取る
デジタルサイネージで配信している情報を、Bluetoothなどを使って利用客が受信できるシステムを導入すれば、利用客は自分のスマートフォンで知りたい情報を閲覧することができます。その閲覧ページやデータを見せれば、クーポン配布や割り引きなどのサービスを付けるのもおすすめ。このような方法も待ち客をつなぎとめる効果が期待できます。
オーダーから支払いまでスマホで
レストランの店内にQRコードを表示して、メニュー選びや注文をスマートフォンでセルフで行うシステムを導入している店舗も増えています。来店客が着席してQRコードを読み込み、メニューを選んで注文。選んだものは厨房へ直接送信されます。もちろん決済もスマートフォンで完結。来店客はメニューをじっくりと選ぶことができ、外国人客の言葉の壁を取り除くことにもなります。また、テイクアウトが主体で店外からの注文が多い店舗でも、注文から決済までをスマートフォンで行うモバイルオーダーは効果的。利用客にとっても待ち時間のストレスがなく、店側にとっても電話応対などで発生する聞き間違いなどのミスを防ぐことに繋がります。スマートフォンとデジタルサイネージの連携は相性がいいと言われており、今後もアイデアは広がっていくでしょう。人員的なコストを大幅に下げても、顧客満足度を上げられる将来が想像できます。
これからも進化していくレストランでのサイネージ
デジタルサイネージを利用すればレストランのコンセプトが顧客に伝わりやすく、気軽に利用しやすくなります。特に食の安全の情報も容易に流すことができるので、意識の高い顧客に対してもデジタルサイネージは効果的。人件費などのコストダウンにつながるのもメリットです。短期的でも長期的でも、スタンスを問わずに効果的なのがデジタルサイネージ。これからのレストランの健全経営には不可欠なアイテムとなるでしょう。