デジタルサイネージなど幅広い用途に利用されるモニター。セットトップボックス(STB)やパソコンなどからモニターにシグナルを伝送することで、画像や映像を映し出すことができます。その際にチェックしておきたいのが、モニターや機材に設置されている入力端子。この入力端子には様々な規格があるので注意が必要です。そこで今回は、入力端子の種類や押さえておきたい注意点をご紹介します。

デジタル形式に対応する入力端子は?

モニターに映像を流して利用する場合、入力端子を通してシグナルを受け取る必要があります。シグナルにはアナログ形式とデジタル形式の2種類があり、それぞれの形式のシグナルを受け取るにはその形式に適する入力端子を設置したモニターが不可欠です。ここではまず、デジタル形式のシグナルに適している入力端子を詳しくご紹介します。

HDMI端子

HDMI端子は映像・音声・操作をデジタル形式のシグナルにして入力・出力できる規格です。従来、映像シグナルと音声シグナル、操作シグナルを別々のケーブルで伝送していましたが、HDMI端子を持つケーブルや機器が登場したことにより、1本のケーブルですべてを入力・出力可能になりました。HDMI端子を持つケーブルを使用することで機材とモニターの接続が簡単になり、デジタル形式のデータを圧縮せずに送れるので、データがほとんど劣化せず本来の質の高い映像や音声を楽しめます。そのため、HDMI端子は伝送の高速化や高解像度が必要な場面で活用されています。中でも精度が求められる医療機器やCADなどにこの端子が採用されています。また、パソコンやゲームなど家庭用の電気機器との接続にも使われています。

HDMI端子のカタチは使用する機器に合わせてタイプA〜Eの5種類。タイプAが一般的なHDMI端子で多くの電気機器に設置されています。その他、タイプAより幅広のタイプB、ノートパソコンやビデオカメラなどに設置されているHDMIミニ(タイプC)、HDMIミニよりも小さくスマートフォンやデジタルカメラなどの接続に使用されるHDMIマイクロ(タイプD)、自動車に搭載されているタイプDがあります。
購入の際にはタイプを間違えないように注意しましょう。

Display Port端子

Display Port(ディスプレイポート)端子もHDMI端子と同様、映像や音声のデジタル形式のシグナルを1つの端子で入力・出力することができます。Display Port端子が登場する前はDVI端子が多かったのですが、ノートパソコンなど小型電子機器には搭載しづらいため、大きめのDVI端子に代わって小さめのDisplay Por端子が普及しました。一般的に、Display Port端子はパソコン分野、HDMI端子は家庭用電気機器の分野という位置づけで浸透しています。

DVI-D端子

DVI端子の種類は3種類、デジタル形式に適したDVI-D、デジタル形式・アナログ形式の両方に適したDVI-I、アナログ形式に適したDVI-Aがあります。
DVI-D端子は、液晶モニターやプロジェクターなどの装置の映像品質を最大限に活かせるように設計されています。そのため、入力・出力する映像などのシグナルを圧縮せずに伝送できるので、データが劣化しにくいのが特徴です。

アナログ形式の入力端子の規格は?

先述したように、デジタル形式とアナログ形式で入力端子の規格が変わります。モニターや機材の入力端子はデジタル形式のものが多いですが、アナログ形式の機種を使用したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでここでは、アナログ形式の入力端子についてご紹介します。

コンポジット端子

コンポジット端子は「ピン端子」や「RCA端子」とも呼ばれる入力端子で、主にVHS(ビデオ機器)に設置されていました。端子のカラーは黄色で映像シグナルを伝送しますが、基本的に赤と白の音声(左右)入力端子も一緒になっています。接続方法が簡単であることがメリットで、地上波デジタル放送に切り替わるまでは家庭内でもよく使われていた端子のため、目にしたことのある方が多いのではないでしょうか。

ただ、各シグナルが複合して1本の線で伝送されるため、質の良い映像の表現が難しいというデメリットもあります。また、ドット妨害やクロスカラーなどの問題が起こる場合もあります。

コンポーネント端子

コンポーネント端子は、映像シグナルをアナログ形式のまま伝送できる入力端子です。色のシグナルをY、B-Y、R-Yに分けて伝送することから、色差入力端子とも呼ばれています。この3つの端子はYが輝度・同期シグナル、B-YおよびR-Yが色差シグナルと分かれており、3つの端子はすべて同じ形です。そのため、接続時に間違えないよう、ケーブルやコネクターにY→緑、B-Y→青、R-Y→赤の色を付けて分けています。

コンポーネント端子は映像端子であるため、音声シグナルの伝送には別の端子が必要となり、接続が少し複雑です。しかし、映像シグナルと音声シグナルを分けることによって、入力・出力の際に映像が劣化するのを防いでくれます。そのため、DVDプレーヤーなどの機材からモニターに質の良い映像を伝送することが可能です。

VGA端子

VGA端子は赤・緑・青のカラーシグナルを入力・出力するアナログ規格であることから「RGB端子」とも呼ばれています。この端子の特徴は、シグナルが一旦デジタル方式に変換される「A/D変換」。デジタルシグナルがアナログに変換され、再度デジタルシグナルに変換されるため、歪みが生まれ、デジタル方式の入力・出力よりも映像が劣化してしまいます。現在はデジタル方式での入力・出力が主流ですので、今ではあまりこの端子は設置されていません。

デジタル・アナログ両用端子の規格は?

入力端子はデジタル形式とアナログ形式に分かれている規格がほとんどですが、どちらにも適している入力端子の規格もあるのでこちらも確認しておきましょう。

DVI-I

先述したDVI端子の一つであるDVI-I端子はデジタル形式のシグナルとアナログ形式のシグナル、両方に適しています。DVI-D端子のデジタルシグナル用ピンに、映像のみに対応しているアナログ規格のVGA用のピンを加えた端子がDVI-Iです。この端子はDVI-D端子やDVGA端子と互換性があり、デジタルシグナル対応の機器を使用したり、変換コネクターを挟んだりすれば、簡単に接続ができます。

1台の機材から複数のモニターに接続する場合は分配器が便利

モニターを用いた広告や、会議・授業でパソコンやプロジェクターなどから複数台のモニターに画像を映したい時もあるではないでしょうか。最近は、パソコンなどからモニターに接続する場合、HDMI端子を使用することが増えてきています。そのためHDMI端子切り替え分配器(HDMIスプリッター)を使ってHDMI端子入力対応機材(パソコンやプロジェクターなど)に接続すれば、複数の液晶テレビや液晶モニターに同じ映像を流すことが可能です。
また今後さらに需要が高まるといわれている4Kや8kなど高画質にも適したモニターを使用すれば、複数台のモニターにきれいな画像を映し出せます。HDMI切り替え分配器は自動、手動に加え両方が使えるものもあるため、使い勝手の良い製品を選ぶと良いでしょう。

機材とモニターを接続する時の注意点

ご紹介してきた入力端子の規格は、互換性がないものも一部あります。そのためデジタル端子とアナログ端子の接続ができなかったり、デジタル端子同士、アナログ端子同士でもシグナルの変換が必要になったりする場合があります。そのため、デジタルサイネージなどの用途で機材とモニターを接続する際は端子をしっかりと確認するようにしましょう。
また、モニター側には同じカタチの端子で映像シグナルを入力する端子と出力する端子が備わっている場合があります。この時、ケーブルを差し間違えるとシグナルの出力も入力も行われず、モニターに何も表示されなくなるので注意しましょう。

デジタルサイネージプレーヤーなどに合った入力端子を使おう

豊かな表現が可能なことから、幅広く活用されているデジタルサイネージ。パソコンやプレイヤーなどの機材からモニターに広告映像や案内画像を映し出すために必要な入力端子には、デジタル形式かアナログ形式かによって様々な規格があるので注意が必要です。この記事を参考にして、モニターや機材購入の際には入力端子の規格をしっかり確認しておきましょう。