デジタルサイネージの稼働には、再生装置であるプレイヤーの存在は欠かせません。ただ、プレイヤーは基本中の基本と考えられているようで注目される機会は稀。しかし、プレイヤーはデジタルサイネージの核となるものでもあり、その重要性はしっかりと認識しておく必要があります。プレイヤーは大きく分けて一体型と独立型の2種類。商品によってスペックにも差があります。デジタルサイネージを効果的に運用するために、プレイヤーの役割や機能を解説しましょう。

専用プレイヤーなら管理も楽に

プレイヤーとは

デジタルサイネージのプレイヤーとは、設定した静止画や動画をディスプレイに表示したり、ループさせる機器。コンテンツを再生したり表示したりするだけなら、パソコンとディスプレイを接続することでも可能ではあります。ただ、デジタルサイネージを活用するには専用のプレイヤーを使った方が、さまざまな面でプラスに働くでしょう。

PCを直接つなぐより操作は簡単

専用プレイヤーは機能がデジタルサイネージに必要なものに特化しているので、操作が簡単になります。そして高スペックなパソコンと比べると、起動が早くて費用も安価という良さも。また、屋外での使用を想定し、防塵や高温対策にも優れた仕様のプレイヤーもあります。誰もが簡単に運用できることや耐性の面を考慮しても、デジタルサイネージの運用に専用プレイヤーは必要不可欠な存在です。

シンプルに運用するならディスプレイ一体型

プレイヤーのタイプは2つ

プレイヤーは大きく分けて2種類あります。ディスプレイと一体型のタイプと、ディスプレイとは別に独立したタイプ。一体型はシンプルな構造となっており、初めてデジタルサイネージを使ってみる、という場合や、表示するコンテンツが複雑でなければ、まずは一体型から試してみるのもいいでしょう。

スタンドアロンなら十分に対応

一体型の使用方法は、まずパソコンで作成したコンテンツを、USBやSDカードなどに書き込みます。そしてディスプレイの裏側などにあるプレイヤーに直接差し込んでディスプレイに表示、というのが一般的。情報を更新する場合はUSBなどの外部記憶媒体を一度抜いて、書き換えてから再度差し込んで表示する、という手順になります。

機能も操作も一体型のほとんどはシンプルなので、コンテンツを作成して、あとは電源さえあれば簡単に運用が可能。インターネットなどのネットワークに繋がず使用するデジタルサイネージをスタンドアロン型と言いますが、一体型はこのタイプによく見られます。運用台数が少なかったり、情報の更新頻度が月1回程度ならディスプレイと一体型のプレイヤーでも十分に対応。導入コストも抑えられるメリットがあるのも一体型の魅力です。

独立型のSTBは機能も豊富

高スペックPCよりも操作は簡単

プレイヤーは一体型の他にSTB(セットトップボックス)と呼ばれるディスプレイとは別に備える必要がある独立型があります。シンプルな表示なら一体型でも十分に賄えますが、STBは豊富なバリエーションでコンテンツを表示できる機器。しかも、高スペックのパソコンをつないで再生するより、操作のストレスもかかりません。

STBはケーブルテレビや衛星放送、地上波テレビなどの放送信号を受信し、一般のテレビで視聴可能な信号に変換する装置として知られてきました。時代と共にその機能性は利用されるシーンに合わせてどんどんとカスタマイズされ、最近ではデジタルサイネージの世界でも必要とされるアイテムとなっています。

機能性も魅力十分

STBの機能としては主に4つ。ディスプレイのどの位置にコンテンツを表示するかを決める「レイアウト機能」、コンテンツをいつ、何時からどのくらい表示するか決める「時間管理」、そして何度も再生を可能にする「ループ機能」、静止画を動かす「スライドショー機能」などがあります。

また、機種によって性能の差はありますが、電源のオンオフタイマーやワイヤレスの通信、縦横画面の切り替えに対応するのもSTBの特徴。そしてデジタルサイネージ専用のSTBは必要な機能だけにまとめられているので、パソコンを使用した場合と比較しても販売価格は安く設定されています。本体もコンパクトで置き場所に窮することも、あまり考えられません。

ネットワーク対応型で活用に幅

遠隔操作で複数店舗の同時再生も可能に

STBがネットワーク対応型なら、デジタルサイネージの活用はさらに幅が広がります。ネットワーク経由で遠隔操作が行えるので、複数の店舗で同時にコンテンツを表示したり、更新することも可能。緊急時の内容変更に対応できるメリットも大きいでしょう。また、デジタルサイネージが天井や外壁など、容易に手の届かない場所に設置されていても、遠隔からの頻繁な更新が容易になります。

複数モニターの連結使用もできる

そして、STBは複数のモニターを連結しての使用を可能にする機器。その手法はコンサートやイベント会場などでよく見られます。数枚のモニターを組み合わせ、1つの画像としてコンテンツを大きく見せるのはインパクトも強烈。もちろん、大掛かりになると業務用モニターを複数揃えるなどのコストはかかりますが、STBがあると安価なテレビモニターでも連結して使用することが可能です。

モニター1枚ではコンテンツの中身が伝わりずらかったり、インパクトや面白みがない、と感じることも時にはあるでしょう。複数モニターの組み合わせはコストがかかるのでは、という印象を持たれることも多いようですが、STBがあれば規模の大小に関わらず可能性を探ることができます。デジタルサイネージの活用に、STBが果たす役割は大きいと言えるでしょう。

ボックスとスティックタイプ

タフに作られているボックスタイプ

デジタルサイネージの専用プレイヤーをサイズで見てみましょう。
よく使われているのはボックスタイプ。サイズは幅が13~15センチ、高さは3~4センチ程度のものが一般的。ディスプレイにはケーブルでつないだり、無線LANで操作します。

そして、ボックスタイプのほとんどは屋外での使用を想定。防塵や振動、高温など故障や劣化の原因となるものについても、タフに設計されているのがボックスタイプの特徴です。

場所を問わないスティックタイプ

また、最近では手のひらに収まるスティックタイプのプレイヤーも販売されています。デジタルサイネージの設置場所によって、ボックスタイプを置くことが難しい場合などにスティックタイプは有効です。

また、値段も従来のプレイヤーと比べると安価なものがほとんど。ただし、ボックスタイプほど防塵などの対策については強固ではありません。このあたりも今後は進化していくものと思われますが、スティックタイプを選択する時は頭に入れておいた方がいいでしょう。

デジタルサイネージ専用プレイヤーで情報発信を


デジタルサイネージを運用するなら、やはり専用プレイヤーを使った方がコスパも良くおすすめです。専用プレイヤーの知識を深めて、目的に沿った機器を選ぶことが重要。活用のバリエーションも豊富なので、オンリーワンのトータルプランニングも可能になります。デジタルサイネージの中枢として大きな役割を果たす専用プレイヤーで、多彩な情報発信を目指しましょう。