屋外・店頭・交通機関など、様々な場所で、ディスプレイを用いて情報発信するシステム「デジタルサイネージ」。

ネットワーク通信により、時間帯や場所によって表示内容を変えられる、より広告効果の高い最先端のシステムとして注目を集めています。この記事ではデジタルサイネージの仕組みについて紹介します。

デジタルサイネージの構成


デジタルサイネージは、表示装置(モニター等) 、コントロール部 、デジタル通信部 、ストレージ の4つの部位から構成されています。

表示装置(モニター等)

表示装置は、文字や動画、静止画などを表示するディスプレイ部分です。実際に人々が目にするのはこの表示装置。液晶テレビ等でも代用が可能で、大きさは用途によって自動販売機の小窓程度のものからビルの壁面等に設置される大型のものまで様々です。

コントロール部

表示される映像と、管理部との通信の制御をする箇所であり、また映像等の記憶装置も備えています。

デジタル通信部

広告映像等の配信元から情報を受け取るのがデジタル通信部です。ネットワーク型のデジタルサイネージであれば、サイネージ側から情報を返すことも可能。

サイネージ側から情報送信が可能なインタラクティブ型のデジタルサイネージは高コストですが、複合施設での店舗案内など、高い広告効果が期待できます。双方向のやり取りができないブロードキャスト型では、低コストであるほか、同時に複数の表示装置の広告の更新が可能なメリットがあります。

ストレージ

映像情報などを保存し、外付けのメモリーカード等で拡張も可能なストレージ。スタンドアローン型のデジタルサイネージであれば、このストレージ部に広告のコンテンツを保存したUSBメモリやSDカードを差し込み、データを取り込みます。

デジタルザイネージを使用するには、上に挙げた表示装置等のハードウェアのほか、表示するコンテンツを管理するソフトウェアの導入が必要です。ソフトウェアをダウンロードしたPCでデジタルサイネージの管理を行うことになり、表示する広告のコンテンツ作成も必要になります。

スタンドアローン型とネットワーク配信型


デジタルサイネージの仕組みは大きく分けて、スタンドアローン型、ネットワーク配信型の2種類があります。

スタンドアローン型


スタンドアローン型デジタルサイネージは、ネットワークへの接続が不要なタイプです。USBメモリやSDカードにデジタルサイネージに表示する広告コンテンツの動画や画像を入れて、デジタルサイネージで再生させます。

必要な装置はディスプレイとデータメモリのみであるためコスト的にも手軽で、また作成した広告コンテンツをそのまま表示するだけというシンプルさから、初心者に使いやすいタイプのデジタルサイネージです。

情報を随時更新するのには向いていないので、コンテンツを頻繁に更新する必要がない場所への設置がおすすめ。コンテンツの作成は、自社での作成のほか、業者へコンテンツ作成を依頼する場合もあります。

ネットワーク配信型


広告コンテンツをサーバーへアップロードし、そこからサイネージへ一括配信するネットワーク技術を利用したタイプ。ネットワーク型デジタルサイネージは、サイネージの設置された場所から離れた場所やコントロール拠点から、複数のサイネージへ一括でコンテンツの配信、映像や静止画の切り替え、配信予約などができるため、サイネージを管理する人員の削減が可能なのがメリット。

また遠隔地からサイネージの稼働状況の確認が可能であるほか、時間帯に合わせた情報を提供することもできます。例えば、日によって変わるランチタイムやキャンペーン等の配信が可能です。売り上げ情報や、その日の気温と連動し、サイネージの設置場所ごとに個別の情報を配信することもできます。

スタンドアローン型とは異なり、多数のサイネージの一括運営が可能なのが最大のメリットで、設置場所や時間別に異なったコンテンツを配信するような場合、ネットワーク配信型デジタルサイネージが重宝されます。主に大型商業施設や小売店、空港や駅、病院などの公共施設でネットワーク型デジタルサイネージの導入が進められています。

また、タッチパネルなどを通し、サイネージを見た人の側からもコミュニケーションをとることができるインタラクティブ型のデジタルサイネージも広まりつつあります。

主な設置場所や利用シーン


デジタルサイネージの主な設置場所は、公共施設、商業施設 、店舗などで、それぞれ販促、イベント情報告知、経路案内などの用途で使用されます。

公共施設


市役所、病院、駅、バス停等の公共施設では、住民への案内や告知にデジタルサイネージが利用されます。待ち時間やバスや電車の接近情報など、紙媒体の掲示では追いきれない時間ごとの詳細な情報の掲示が可能に。掲示物を頻繁に張り替える必要もないため、職員の手間削減になり、より質のよい情報掲示へつながることも期待できます。

商業施設


各地の大型商業施設でもデジタルサイネージの導入は進んでいます。例えば、入口正面に大型のデジタルサイネージを設置し、アイキャッチの効果と、経路案内や店舗の紹介を兼ねている施設も。また、エレベーターホールへデジタルサイネージを設置し、エレベーター待ちの手持ちぶさたな時間にイベント告知や店舗紹介、キャンペーン情報が目に入るようにすることで、効果的な販促を狙っている施設もあります。

店舗


店の前の電子看板、店舗内での商品案内として利用されているデジタルサイネージを一度は見たことがあるのではないでしょうか?店舗前にデジタルサイネージを設置することで、店の前を歩く人の目を引く効果と、店舗の情報案内から来店への誘導が期待できます。

また、店舗内において、商品説明やセール情報など、商品についての詳細な情報を、デジタルサイネージから情報発信すると販促に役立ちます。

よく見るデジタルサイネージの仕組みは?【電車など】


生活の中で目にすることも増えたデジタルサイネージですが、中でもよく見るタイプの仕組みを解説します。

行先情報や企業広告が表示される電車内のデジタルサイネージ


電車内のデジタルサイネージは、主に車両内のドア上などに設置され、行先、運行情報、天気予報やニュースが表示されます。

その仕組みは、鉄道事業者のネットワークによってコンテンツが拠点駅へ届けられ、そこから車両へ無線配信されます。運行情報や天気予報などのコンテンツは常に最新の情報を配信する必要があるため、配信は適宜行われています。

飲食店の店頭看板デジタルサイネージ


飲食店のデジタルサイネージは、店頭看板として利用されたり、店内のメニュー表示に使われることが多いです。スタンドアローン型は主に店頭看板に、ネットワーク配信型は店頭看板にも、店内のメニュー表示や案内などにも使われます。

スタンドアローン型サイネージは一度に表示できるのはUSBメモリ内に保存できる内容のコンテンツのみになるため、日にちや時間帯に左右されない店舗案内などを、ネットワーク配信型サイネージは時間帯ごとにランチやディナーのメニューを表示し誘導を行う場合が多いです。

デジタルサイネージは効果的な広告メディア


デジタルサイネージは非常に広告効果が高く、今後ますます発展していくことが期待されます。写真や動画を効果的に利用することによって、デジタルならではのより伝達力や注目度の高い広告を打ち出すことができます。

導入を考えている方は、デジタルサイネージの仕組みや種類を知り、資料を集め検討してみてください。