「デジタルサイネージ」とは、オフィスや店舗、公共交通機関などのあらゆる場所でディスプレイを使って情報(文字や静止画、動画など)を表示し、マーケティングや空間演出を行うシステムのこと。従来の張り紙やチラシに比べてタイムリーな情報発信が可能でインパクトも大きいため、高いパフォーマンスが期待できます。

デジタルサイネージには3つの種類がある


デジタルサイネージにはタイプに応じて3つの種類に分けることができます。まずは、どのタイプで運用していくのが最適かを見極めましょう。

スタンドアロン型


インターネットにつながっておらず、USBなどの記憶媒体を通してディスプレイに表示させるタイプ。デジタルサイネージの中ではリーズナブルに利用できることとインターネット環境がない場所でも利用できるメリットがある一方で、情報の更新に手間がかかるので更新頻度が高い場合には不向きという側面もあります。

ネットワーク型


インターネットにつながっているデジタルサイネージのこと。タイムリーに情報更新できることが魅力で、ネットワーク型であれば複数のディスプレイを一つのパソコンで管理できます。複数のデジタルサイネージを運用する場合や情報更新頻度が高い場合に便利ですが、ネットワーク回線やシステムの保守費用の面ではスタンドアロン型よりもコストがかかります。

インタラクティブ型


インターネットに繋がっており、なおかつ外部刺激に反応するのがインタラクティブ型。タッチパネルタイプが代表的ですが、最近はモーションセンサーや顔認証、音声認証などが発達し、動きや表情、音声に反応して表示する内容を変えるタイプも多く見かけます。情報を一方的に与えるだけではなく双方向のコミュニケーションが取れるというのが大きなメリットです。

デジタルサイネージを導入する3つの目的と利用シーン


デジタルサイネージの魅力は「紙のポスターの代わり」にはとどまらない活用の幅の広さにあります。デジタルサイネージでできることは主に3つ。それぞれの具体的な利用シーンからどのように活用していきたいのかイメージしてみましょう。

広告・販促


デジタルサイネージの特徴は、画面を通して静止画だけでなく動画や音も含めた映像を流せるというインパクトの強さにあります。ディスプレイの前で顧客の足を止めることができるので、店舗の前に設置することで店舗や商品のイメージをアピールしたり、入店するか迷っている人を店舗内に誘導したりすることができます。
今まで紙媒体で管理していた広告は、一度作ってしまうと変更ができず情報量も限られてしまいますが、デジタルサイネージにすることで秒単位で広告を変更できて情報量が増えるだけでなく、それぞれ発信したい情報を的確なタイミングで流すことができます。

情報表示


デジタルサイネージは顧客が欲しいと思っている情報を的確に提供することができます。大型ショッピングモールに設置してあるタッチパネルタイプ施設案内用のディスプレイや、店舗での待ち時間、待合室の呼び出しディスプレイなどをイメージすると良いでしょう。
今まで案内にかかっていた人件費を削減し、表示すべき情報が変わってもパソコン一つですぐに対応可能。ペーパーレスを進めることにもなるので環境にも優しくエコです。

空間演出・エンターテイメント


技術の進歩により屋内屋外問わず大型ディスプレイを設置することが可能になり、デジタルサイネージを空間演出に活用するところも増えています。壁一面、天井一面をデジタルサイネージにすることで、伝えたいことを画面ではなく空間全体で伝えることができるのが魅力。パブリックビューイングやデジタルサイネージとプロジェクションマッピングを組み合わせたエンターテイメントなどもその一例で、その場にいる人が同じ体験を共有することで新しい感動が生まれます。

デジタルサイネージ導入には何が必要?


デジタルサイネージの汎用性の高さは大きな魅力ですが、運用コストなども気になるところ。導入するに当たって具体的に何が必要なのか、どれくらいの費用がかかるのかを見てみましょう。

ディスプレイ

デジタルサイネージは多くの場合専用のディスプレイを使用します。家庭用のテレビやディスプレイを使うこともできますが、輝度や視野角などが違うためデジタルサイネージとしてしっかり活用するなら専用ディスプレイがおすすめです。
価格はメーカーによっても異なりますが、42インチ〜55インチの屋内用なら10〜40万円が目安。防塵や防水処理が必要な屋外用ディスプレイは倍以上の価格になると考えておきましょう。

STB

STBはセット・トップ・ボックスの略で、コンテンツを再生するためのプレーヤーのこと。ディスプレイに含まれるタイプと様々なディスプレイに繋ぎかえることのできるSTB単体のタイプがあります。シンプルなものは1万円程度からありますが、インターネット接続可能で縦置きできるものなど機能が増えれば10万円を超えるものもあります。

CMS

デジタルサイネージは複数のコンテンツを順番に再生したり時間ごとに再生予定を変えることもできますが、それらの放映スケジュールを管理するのがCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)です。
複数のデジタルサイネージを運用する場合はコンテンツの管理が複雑になるためこのシステムは必要不可欠。最近はサーバを構築する必要がないインターネット上のクラウドサービスを利用したものが一般的で、月額料金(4000円〜1万円程度)を支払って利用することがほとんどです。

コンテンツ

デジタルサイネージのパフォーマンスの要となるコンテンツ。魅力的なコンテンツを自社制作できる場合は良いですが、専門のクリエイターがいる制作会社に外注する場合はその費用を考えておきましょう。コンテンツ制作費用はコンテンツの長さ、情報量、静止画、動画など様々な要因で変わります。

長期的にはこんなコストも必要


初期投資とは別に、長期的には以下のようなランニングコストも頭に入れておく必要があります。

電気代

デジタルサイネージを表示するための電気代は輝度(ディスプレイの明るさ)にもよりますが、一般的に300〜350カンデラ(家庭用テレビは150〜200カンデラ)の場合は1日15時間つけたとして650円前後、700カンデラ(屋外用ディスプレイで最低限必要な輝度)ほどの明るさになると2,800円前後の電気代がかかると思っておきましょう。

コンテンツ制作代

ディスプレイに流す静止画や動画などコンテンツを準備することも必要経費です。コンテンツ制作会社に依頼する場合は内容や修正回数、制作に費やす時間などによっても大幅に変わります。もちろん、コンテンツに関しては他社に依頼せず自分で制作することも可能です。

メンテナンス代

電化製品である以上デジタルサイネージのハード面でのメンテナンス費用も考えておかなければなりません。デジタルサイネージの耐久性はディスプレイの耐用年数に準じており、スタンドアロン型であれば法定耐用年数は3年に設定されています。実際は倍以上の耐用年数で設計していることが多いですが、外部刺激が少ない屋内型が雨風に晒される屋外型かでも差が出るでしょう。
また、ハード面だけでなく運用に必要なCMSなどソフト面のメンテナンスも必要。デジタルサイネージを導入した会社が月額料金でその後のサポートやメンテナンスも請け負ってくれる場合が多いです。

デジタルサイネージ導入で情報発信をスマートに


日本ではまだまだ認知度の低いデジタルサイネージですが、まだ少ないからこそ導入によって得られるメリットも大きくなります。デジタルサイネージでスマートに情報発信をすることで自社のブランディングを図ってみてはいかがでしょうか。