商品や製品の魅力を消費者にアピールするため、商業施設などではデジタルサイネージが積極的に活用されています。せっかくコストをかけて設置するのですから、販売促進につながらなければ意味がありません。中には発信する情報の中身が消費者のニーズに合っていなかったり、目立つ場所に配置されなかったりなど、デジタルサイネージの利点をうまく生かしていない例もあります。売り上げアップに効果的なデジタルサイネージの活用方法やチェックポイントを紹介します。

地元の消費者向けを意識

ターゲットや販売目的を明確に

ここ数年、デジタルサイネージはディスプレイや付属システムの導入価格が急速に安価となったのを背景に、店舗やイベントなど様々な場面で活用されることが多くなりました。特に小売店や商業施設ではその傾向が顕著。販売促進やインフォメーション、広告を目的にするのはもちろん、店内の空間演出でインパクトを与えるなどのイメージ戦略としても利用されています。

デジタルサイネージの利点は何と言っても目立つこと。うまく活用できれば売り上げアップに貢献してくれるはずです。それでも安くなったとはいえ、デジタルサイネージにコストがかかることには変わりはありません。消費者に自店の必要性を知らせ、さらに購入意欲を高めてもらうために、デジタルサイネージが持つ特徴を十分に理解して、効率的な運用を目指しましょう。

地域の消費者にファンを増やそう

デジタルサイネージはテレビCM、Webサイト、新聞折込チラシなどと違って、来店した消費者に直接アピールし、コミュニケーションが図れるツール。地域の生活に密着した販促戦略も、即応性のあるデジタルサイネージなら可能。消費者が今、何を求めているかを感じ取った瞬間に、デジタルサイネージに反映させて商品を提案することもできます。

最近の小売業界は狭い商圏の中で競合が激化する傾向にあります。その中で売り上げを伸ばすには、競合店のユーザーを呼び込むことも必要でしょう。そのためには「このお店に来れば何とかなる」と消費者が思うような、地域第一のスタイルをアピールするのは有効な手段。チェーン店の場合でも本部の販売戦略に、それぞれの地域の生活スタイルをプラスすることで差別化を促し、地域の消費者にファンを増やすポイントとなります。

何よりもコンテンツが命

時間帯や時期に合わせて商品をPR

店舗の一般的な販売促進プランとしては、その時期の旬や売れ筋、おすすめ商品をWebサイトやチラシなどで宣伝。それを見て来店した消費者を、デジタルサイネージでさらに興味を持ってもらい、売り場へ誘導するという流れになるでしょう。

最近の傾向としては地域の行事や、一定の年齢層が来店するタイミングに合わせ、その需要に関連した商品をデジタルサイネージのコンテンツに反映する例も目立ち始めています。これも地域の消費者を重要視しているからでしょう。その日その日の天気や時間帯はもちろん、花火大会など地域独自の年中行事や、近隣学校の運動会などのイベントがある時期は売れる商品も変わってくるはず。そのチャンスを逃さないことを意識して、配信するコンテンツを作ることも大切です。

メッセージ色を出すなら自作もアリ

コンテンツ制作は業者に依頼するのが大方だと思います。プロに頼めば質の高いデザインが手に入りますが、情報を伝える目的や見てほしいターゲットは明確にして、デザイナーにはっきりと伝えましょう。デザインになじみがなければコンテンツづくりに関わるのは難しい作業です。それでもコンテンツの色づかいや、動画にするか静止画にするか、また、こんな写真やイラストを使いたい、などは外注する前にイメージを固めておいた方が、外注先もアイデアが膨らみやすく、本当の意味での伝わるコンテンツづくりに結び付くはずです。

プロのきれいなデザインでアピールするのは最良の方法ですが、あえて自前で作るのも手法の一つです。コンテンツづくりにはそれなりのデザインの知識やスキルも必要。それでも今は、テンプレートのダウンロードサイトなどもあります。自前で制作できればコンテンツ更新のスピードアップが容易となるのはもちろん、デザインのオリジナル性、メッセージ色の追求につながることもあるでしょう。

店外や屋外の発信はさらに一工夫を

自店の周りの流動層を見極める

デジタルサイネージを店外や屋外に設置して活用することも、重要なポイントとなります。顧客の新規開拓やリピーターを増やすために、例えば店舗前で商品案内やフェアの開催を告知したり、飲食店なら新作メニューやおしゃれな雰囲気のコンテンツを作り、店内へ誘導。また、壁面に大画面を設置して迫力のある映像を流し、ドライバー、通行人に印象付けるのも効果的でしょう。

その場合は時間帯や曜日などで、どんな層が店舗の周りで動いているのかを認識する必要があります。朝や夕方はサラリーマン、日中は高齢者、また土日祝日はファミリーが多いなど、その事情は店舗によっても違いがあるでしょう。デジタルサイネージを有効に活用するには、こうした調査を踏まえて、時間帯、曜日ごとにコンテンツを変更していくなどの対処が求められます。

改善や継続のサイクルは細かく

コンテンツを頻繁に更新するには、制作する手間もかかりますが、情報の種類ごとにテンプレートを作り、動画や文字など部分的な素材を差し替えるなどの手法もあります。コンテンツはクリエイティブの質も大事ですが、ポスターやチラシなどと違って短いサイクルで情報を更新できるのもデジタルサイネージの特徴。コンテンツも細かく区切って流した方が、消費者へのアピールは効果的でしょう。

消費者からデジタルサイネージを見てもらえるのは一瞬でしかありません。一つのコンテンツの長さは目的よって変わりますが、店内外問わず10~15秒を目安とするのがいいでしょう。商品の真横に置いて機能性を詳しく伝えたいなら1分ほどあっても構わないと思いますが、買回り品の促進などでもコンテンツは10個程度として、2分くらいにまとめて短いスパンで繰り返していくのが効果的です。

ディスプレイが目的に合っているかチェック

サイズや明るさ、音量は最適に

デジタルサイネージを運用後も、販売促進に結び付いているか、しっかり分析しましょう。まず、来店者がディスプレイを見ているか。あまり見られていないようなら設置場所が適切なのか、サイズや明るさ、音量にも問題がないか確認する必要があります。

おすすめ商品の真横やレジ前などは20、30インチ程度で十分かと思われますが、消費者の回遊性を高める店舗入り口やエレベーター前などは40~60インチ。屋外ならそれ以上のサイズが有効なことが多いです。明るさも一瞬で目を引くものであるか、あるいはまぶしすぎないかを確認し、音量も目的に応じてバランスを考慮しましょう。

コンテンツ更新による売り上げの動きも調査しよう

コンテンツの配信の仕方や更新のタイミングで、売り上げが変わっているかもチェックしましょう。これを繰り返すことで来店者の傾向は一層捉えやすくなり、販売促進へ向けた精度はますます高まります。きめ細やかな運用計画を立てて実効していくことで、消費者とのコミニュケーションも密になり、最適な商品の提案につなげるのも可能になります。

2倍以上の売り上げも!デジタルサイネージで見込める販促効果


デジタルサイネージの効果的な運用で、2倍以上の売り上げを出したショッピングセンターやスーパーマーケットなどの成功例も多く出てきています。この先もデジタルサイネージの必要性は増していくはず。消費者の動向をしっかりとつかんでコンテンツを工夫し、さらに検証を重ねていけば、デジタルサイネージは販売促進の強い味方になってくれるでしょう。