デジタルサイネージの発信力を高めるカギは「Wow factor」にあり!海外の最新デジタルサイネージ導入事例から、DSEで表彰されたクリエイティブな事例や思わず足を止めてしまうユニークな事例を6つご紹介します。
発信力の差は「Wow factor」
「Wow factor」とは「人を感動させる要素」のこと。SNSなど情報を発信する機会が増えた現在で他と差をつけるためには、このWow factorをうまく取り入れることが重要だと言われています。
同じく情報を発信するツールであるデジタルサイネージも「ただ情報を流すだけ」では期待するほどの効果が得られない場合も。Wow factorを取り入れて発信にインパクトを持たせることが大切です。
Wow factorを発信する3つの意味
具体的にデジタルサイネージにWow factorを取り入れることには3つの意味があります。
2.信頼性を高めることにつながる
3.ベストな状態を示すことができる
Wow factorは見る人を感動させて記憶にも強く残ります。伝えたい情報にWow factorを絡めて発信することで、より多くの人の心に残すことが可能です。
また、インパクトのあるWow factorが話題になればSNSなどを通して情報はどんどん拡散していきます。情報が広く周知されるようになれば企業認知度の向上、信頼性を高めることにつながります。Wow factorを活用すれば目の前の顧客にとどまらず広く情報を発信することが可能になるのです。
【DSE表彰】クリエイティブな3事例
実際にデジタルサイネージを活用した海外の事例にはWow factorを効果的に取り入れたものが多くあります。まずはデジタルサイネージが産業の発展に貢献した事例を選出するDSE(Digital Signage Expo)で表彰を受けたクリエイティブな3事例をご紹介しましょう。
McCann Systems(芸術・エンターテインメント&レクリエーション部門 金賞・年度大賞受賞)
オーディアビジュアルを専門にするMcCann Systemsは、150 North Riverside Plazというビルの横に設置された革新的なデジタルインスタレーションアート「150 Media Stream」のコンテンツサーバーを設計した会社です。
150 Media Streamは、高さの異なる薄いディスプレイ89枚を横一列に並べた巨大デジタルサイネージで様々な教育機関と連携し、アーティストや連携大学の学生や教育者の優れた作品を展示していますが、その大きな特徴は「同じ映像を繰り返すことなく個性的なコンテンツを流し続けることができる」という点にあります。
アーティストが作成した映像の他に、天気やニュースなどリアルタイムの情報を取り入れ映像コンテンツを自動作成して放映するという、建築とアートとテクノロジーを融合させてダイナミックで新しい芸術文化体験を創造した作品です。
The Kroger Co(小売部門 銀賞受賞)
大型のスーパーマーケットでは顧客が目的の品物を見つけるまでに時間がかかったり、店員の作業に手間がかかる場合も。それらの問題を解決するためにスーパーマーケットの棚部分にデジタルサイネージを取り入れた事例です。
価格、産地、栄養、特売、クーポンなどの情報をリアルタイムに更新することができ、値札貼り替えなどの作業の効率化、ペーパーレス、消費電力の少ないLED採用による環境保全、プロモーションの活性化などの効果が期待できます。
将来的には顧客のスマートフォンアプリと連携することでショッピングリスト、アレルギー登録、食事制限などのパーソナルデータを反映し、顧客が通路を歩くとそのデータに関連する棚が強調されるなど、顧客が目当ての品物を見つけやすくする機能の追加が目指されており、今後のスーパーマーケットの可能性を広げるデジタルサイネージの活用法と言えるでしょう。
Salesforce本社(ビジネス・政府部門金賞受賞)
ビジネス部門では本社の壁一面をデジタルサイネージディスプレイにした事例がノミネート。エントランスにデジタルサイネージを設置する例は少なくありませんが、多くの企業は広告やPR映像を放映しています。一方、Salesforceが行ったのは大自然の放映。森林や滝などリアリティを追求しながらも見た目に心地よい大自然の風景を放映することで、会社を訪れた人に感動を与えています。
どこにでもあるような無機質な会社の風景では会社を訪れた人の印象に残りませんが、デジタルサイネージを活用して大自然の演出を行っていることがさまざまなメディアに取り上げられ、カメラに収めようと訪問客が増加、ハッシュタグによるSNSでの情報拡散も含めて企業の認知度向上に大きく貢献しています。
【ユニークアイデア】思わず足を止める3事例
海外にはデジタルサイネージの特性を活かして、つい足を止めてしまうようなユニークなコンテンツを発信している事例がいくつかあります。特に話題になった3つの事例を見てみましょう。
咳をする掲示板
「禁煙しましょう」と呼びかけることなく禁煙を意識させることができると話題になったのがスウェーデンのストックホルムに設置された「咳をする掲示板」です。
タバコを吸っている人がディスプレイの前を通るとディスプレイの中の人物が咳をします。タバコを吸っている人は「私のせいかな?」と思わず足を止めずにはいられない。すると、ディスプレイに「新しい年、新しい抱負を」というメッセージが流れます。
喫煙が自分や周りの人に与える影響を、視覚的によりわかりやすく伝えることで禁煙を呼びかけるデジタルサイネージはインパクト大。ほとんどの人がその場でタバコを吸うのをためらってしまうでしょう。
溶けていくアイス
マレーシアのクアラルンプールでは、マクドナルドがデジタルサイネージを使って多くの人を巻き込んで「溶けていくアイス」という楽しいキャンペーンを行いました。
気温・湿度共に高いクアラルンプールの街中の巨大ディスプレイに移るアイスクリームの宣伝映像。しかし、あまりの暑さにアイスは徐々に溶けてしまいます。溶けていくアイスを助けるためには、自身のスマホにアプリをダウンロードして画面上のファンを回して気温を下げなければなりません。
多くの人がファンを回すことでアイスクリームは徐々に元に戻っていき、たくさん回してくれた人にはアイスクリームのクーポンが届きます。そしてそのクーポンも早く使わないとアイスのように溶けてしまうので、イベントに参加した人は急いでマクドナルドに向かうという流れです。
デジタルサイネージを通して多くの人と感動を共有するこのイベントは大成功し、その日マクドナルドには多くの人が訪れました。
フクロウの木
アメリカの小売店がネット販売と戦うためにWow factor活用を考えた事例が「フクロウの木」です。
シカゴ郊外の百貨店のエントランスのフクロウの木には、クリスマスオーナメントのようにいくつもデジタルサイネージのディスプレイをぶら下げてあります。28枚のディスプレイには、それぞれ店舗のイベント情報や地域のアナウンス、様々なユーザーコンテンツを放映しています。
放映するコンテンツは変わらずとも、見せ方のアイデア次第でWow factorは作れるということがよくわかる事例です。
デジタルサイネージで「感動」を「発信力」に
デジタルサイネージの発信力を高めるなら、見る人に感動を与える「Wow factor」が鍵になります。インパクトは感動に、感動は興味につながります。海外のクリエイティブでユニークな事例を参考に、デジタルサイネージの新しい活用法を考えてみませんか?