デジタルサイネージは顧客の満足度向上につながる高付加価値のものが選ばれる時代に突入。さまざまなテクノロジーと融合して新しいサービス提供を可能にするインタラクティブサイネージにはアイデア次第で無限の可能性があります。
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インタラクティブサイネージは「対話型サイネージ」
インタラクティブサイネージとは「対話型」「双方向型」という意味を持つデジタルサイネージのこと。ユーザーの動きなど様々な情報に反応するという大きな特徴があります。タッチパネルタイプのデジタルサイネージをイメージする人が多いかもしれませんが、AIやARを搭載し、SNSを通してスマホと連携することができるものなども世界各地で活躍しています。
具体的には、内蔵したカメラでユーザーの性別や年代を識別し放映するコンテンツを変更するものや、動きに合わせてコンテンツを変更するものなどがあり、通常のデジタルサイネージと比べてユニークな活躍が期待できる今注目のプロモーションツールです。
インタラクティブサイネージの主な機能
最新技術との融合で活躍の幅が広がっているインタラクティブサイネージ。その中でも様々な使い方が考えられている4つの機能をご紹介します。
タッチパネル
インタラクティブサイネージの中ではもっともポピュラーで目にすることが多いタッチパネル。ユーザーの指の動きに応じて表示する内容が変化するので、必要としている情報に短時間で到達することができます。多言語対応可能なので、大型商業施設の案内板や観光地の案内板として幅広く活躍が可能。今まで案内のために必要だった人件費を削減できるというメリットもあります。
AI
音声認識システムとAIを導入し、ユーザーの問いかけに対して自動で返事をするものや、内蔵カメラでユーザーの性別・年代などを分析し、的確なコンテンツを編集して放映するものなどがあります。AIを搭載することで不特定多数に向けて発信される広告ではなくより個人にフィットした広告にすることが可能になっています。
具体的には、前に立つと性別や年代、気温や天気も考慮してその人におすすめのドリンクを案内してくれる自動販売機などが有名です。
AR
ARは「拡張現実」という意味。一言で言うと現実の情報と文字や画像などデジタルの情報を組み合わせる技術です。これにより内蔵カメラでデジタルサイネージの前を通る人の動きを感知し、動きに合わせて映像を切り替えることが可能。タイミングよくコンテンツが放映されることで、注目度をより高めることができます。
また、壁面だけでなく床面にAR搭載のディスプレイを設置することも可能です。海外では橋の上を歩くと動きに合わせて橋にヒビが入るような映像を合わせて、よりスリリングに見せる演出を行っているものなどもあります。
スマホやSNSとの連携
ディスプレイを見ている時にスマホやSNSアプリと連携することができるものも。見ている人を巻き込むような活用の仕方が可能で、自らが当事者になることで注目度が高まります。
海外の事例では、屋外の大型ディスプレイに溶けていくアイスが放映されて、そのアイスを元に戻すためにはその場にいる人がアプリをダウンロードして画面に表示されるファンを回さなければならないというイベントがありました。その後、ファンをたくさん回してくれた人にはクーポンが表示され、店舗でお得にアイスを買うことができるという仕組みです。
スマホやSNSとの連携によって広告や配信の幅はぐんと広がります。こちらのアイスクリームの例のように、その場にいる多くの人が同じ体験を共有し、一体感が生まれるイベントは参加した人の心に強く残ります。
インタラクティブサイネージのユニークな活用事例
アイデア次第で様々な使い方ができるインタラクティブサイネージ。ユーザーの興味や感動を引き出すユニークな活用事例を4つご紹介します。
おしゃれナビ・ミラー
GUのデジタルストアで導入された「おしゃれナビ・ミラー」は、センサー付きの鏡に商品のタグをかざすとその商品の在庫状況やコーディネート例、レビューなどを見ることができるというもの。商品が自分に似合うかどうかの見極めに役立つことはもちろんですが、ユニークな取り組みが話題となり集客率アップにも繋がります。
絶対に勝てないAIじゃんけん
全国20店舗の楽天モバイル店頭で行われた絶対に勝てないじゃんけんキャンペーン。最新AIを搭載したデジタルサイネージが高速に相手の手の形を読み取ることで必ず勝ったり負けたりできるというシステムです。AIという難しい技術を身近に体験できるこのキャンペーンは話題を呼び、メディアにも取り上げられました。
ビールを勧める女性
バーの前に設置されたデジタルサイネージの前を女性が通るとビールを勧めるというもの。女性のビール購入者を増やそうと考えられた取り組みで、男性や子供が前を通ると違う反応をし、女性の時だけビールを勧めます。70種類以上のパターンを用意することでまるで会話をしているような楽しさがあり、バーの集客アップにも繋がりました。
MAJOLICA MUSEUM
駅構内の柱の周りに複数のデジタルサイネージを設置し、錯視の原理を利用してコスメが柱の中に浮かんで見えるようにしたマジョリカマジョルカの例。思わず二度見してしまうようなアイデアはここでしか体験できない特別感のある演出です。
また、モニター内部を飛び回る鳥が落としたQRコードをスマホで読み取つことで占いコンテンツを視聴できるなど、若い女性をターゲットにした運用を行っています。
インタラクティブサイネージ運用にかかる費用
より個人にフィットした広告活動に圧倒的な効果を発揮するデジタルサイネージですが、運用にはどれくらいのコストがかかるのでしょうか。
導入コスト
導入にあたって設備投資の面で必要になってくるコストです。
【ディスプレイ(55インチ/約50万円〜)】
もっともスタンダードな一人ずつ操作するタイプのタッチパネル用ディスプレイの価格。一般的なネットワーク型のデジタルサイネージ用ディスプレイが27万円程度からということを考えるとほぼ倍ということになります。また、大人数で同時操作可能なマルチタクションだとさらに価格は上がり、1面で700万円を超える投資になります。
【STB(1万〜10万円)】
コンテンツを放映するためのプレーヤーのようなもの。ディスプレイに内蔵されている場合もありますが、様々なディスプレイに繋ぎかえる可能性がある場合などは独立型を選ぶこともあります。その場合はシンプルなものは1万円程度から揃えることが可能です。
【CMS(月4,000〜1万円)】
デジタルサイネージを運用するために必要なマネジメントシステムのこと。コンテンツの放映スケジュールの管理やログの管理などを行います。最初に一括で支払う場合もありますが、最近は自社でサーバーを構築する必要がないクラウドサービスを使用したものが主流なので、月額料金としてコストがかかるものがほとんどです。
ランニングコスト
導入後に継続してかかるランニングコストは主に2つです。
【電気代】
デジタルサイネージ運用に必ずかかる電気代は明るさ(cd/カンデラ)によって変わります。
350〜400cd→月額600〜700円/1日15時間使用
700cd→月額2,600〜3,000円/1日15時間使用
2000cd→月額3,000〜5,000円/1日15時間使用
屋内で一般的と言われる350〜400cdでは大きな負担にはなりませんが、屋外使用で最低と言われる700cd、屋外でもしっかり明るさを感じる2000cdでは電気代も高くなっています。
【コンテンツ制作費/配信料】
自社でコンテンツを制作することもできますが、外部に委託する場合は委託制作費がかかります。コンテンツの長さや動画や音声の有無、修正の回数などで大きく変わりますが、もともとあるデータを編集、多少加工して繋げるだけであれば比較的安くできる可能性が高いです。一方、オリジナルで最初から制作ということになるとコストは高くなると思っておきましょう。
天気やニュース、占いなど外部情報を配信する場合は、配信料を支払う必要があります。天気予報は月4,000円程度、占いであれば月500円程度が配信料の目安です。
インタラクティブサイネージで「感動」を「満足度」に
さまざまなテクノロジーと連携して幅広いサービスを可能にするインタラクティブサイネージ。アイデア次第で無限の可能性があるツールを活用して、顧客の感動をサービスの満足度向上につなげましょう。